個人へのパワーシフト

 

 ソニー会長兼CEOの出井伸之氏の著書「非連続の時代」(新潮社)は前作のベストセラー「ONとOFF」よりもビジネスパーソンに数段役立つ内容だ。

 同書は、出井氏が社長に就任した1995年以降に行ったスピーチの内容をまとめたもの。

 同書の中で、リーダーやマネージャーに注目していただきたいのが、“個人へのパワーシフト”について述べている部分だ。

 出井氏は、株式投資をするための情報収集について、現在はインターネットを自由に操れるため、「個人投資家とプロのアナリストの間に情報量の差はほとんどないと言って良い」と指摘している。これは、医療・医薬品業界でも同じことが言える。患者向けのシンポジウムに出てみると、シンポジストの先生方が知らない最新情報を持っている患者が、機関銃のように話し始める場面を目の当たりにすることがある。

  一方、医師・薬剤師もインターネットで医薬品情報を入手しているから、MRが持参するパンフレットの存在価値が急速に低下していると言って良い。

 患者も医師・薬剤師も情報は持っている。彼らが欲しいものは、情報ではなく“知恵”なのだ。この知恵をMR・MSが習得するには、個人の専門性や能力、クリエイティビティなどが必要となる。部下を指導する際には、このことを念頭に置いて欲しい。