「体脂肪が気になる方にヘルシア緑茶」、「ムシ歯になりやすい人のクリニカ」――売れている商品は、どれもターゲットが明確であり、しっかりとターゲットの心を捉えています。
それに対して医療の世界は広告に規制があることも影響していますが、患者のターゲットがあまり明確にしていないような気がします。
そんな中、独立行政法人労働者健康福祉機構が設置・運営する4つの労災病院(関東労災病院、中部労災病院、東北労災病院、和歌山労災病院)が、「働く女性のための外来」を設置して人気を集めています。
「働く女性のための外来」は、働く女性が抱える身体・精神面の問題に配慮して、内科や産婦人科などの横断的連携による女性医療スタッフのみで構成された総合診療科のことです。
「働く女性のための外来」―医療界で、これほど顧客ターゲットに刺さるフレーズは珍しいですが、女性患者にとってはうれしい改革です。東北労災病院がホームページの中で指摘しているように、「男性医師に対する恥ずかしさや何科に相談してよいかわからないことなどの理由により受診を先延ばしにしてしまい、ようやく受診した時には既に症状が悪化しているケースが多い」のです。
同機構が4病院に設置している「働く女性のための外来」について取りまとめた、2003年4月から2004年3月までの1年間の受診者数等の主なポイントは次のとおりです。
◎1年間の総受診者数は1483人。1日平均6人が受診し、1人当たりの平均診察時間は約30分。
◎そのうち、働く女性は1年間で725人と前年度に対し113人増。働く女性の割合は全体の約49%であるが、働く女性の多い年齢層である20〜59歳までの者の割合は全体の約90%を占めている。
◎受診者数の年齢層については、30代(30.5%)が最も多く、次いで40代(21.2%)、20代(20.4%)と続いている。
◎受診者のうち、約4割(39.6%:県内市外27.9%、県外11.7%)が病院の設置されている市の外からの受診者であり、女性医師による「働く女性のための外来」の全国的な需要の高さが見受けられる。
◎受診者の主な疾患として、第1位は女性特有の疾患が45.2%を占めているが、残りの54.8%はそれ以外の疾患であり、様々な疾患に対応できる総合診療科の必要性が見受けられる。また、その中で、精神的疾患が14.8%を占めている。
これは、「働く女性のための外来」というフレーズが女性患者の心をとらえたことを証明しています。
(“コンサナリスト”川越満)