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MRから「疾病管理コーディネーター」へ進化せよ!


 医薬経済社「医薬経済」2003年6月1日号掲載

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 「最近はどこへ行っても、『共生』ということがいわれています。この『共生』『共生』という言葉を聞いていると、私は『生きたい』『生きたい』という人間のエゴイズムの大合唱を聞いているような気持ちになってきます。まことに不思議なことに、その大合唱のなかに『共に死ぬ』というメッセージがひとつも入っていないらしいのです」(山折 哲雄「鎮守の森は泣いている」より抜粋)
 山折氏は“共生=共死”であると指摘しているのだろうが、医療における機能連携も“共生=共死”に他ならない。MRとして、生き残るべき連携チームをサポートしつづけ、共に繁栄していくことが望まれる。

<5つ眼:相乗効果を予測する眼>
 ビジネスを成功させるコツは簡単だ。顧客が喜ぶ商品・サービスを創造し、顧客が来る仕組みをつくれば良い。このことは医療経営も同じで、自院が地域の医療機関と患者から“選ばれる理由”をつくり、患者が来る仕組みをつくれば良い。
 しかし、これまでの医療機関が、それぞれが重複した機能を持ち、連携をしてこなかったため、平均在院日数の長期化を招き、日本式EBM(EがExperienceの経験に基づいた医療)が当たり前となり、薬剤使用も“どうぞご自由に”の世界だった。
 「病診連携を進めると、当然、処方の統一化が行われる。しかし、薬が代わることに対して患者さんが嫌がるケースが多い。そのため、診療所の先生からは『うちに合わせて下さい』と言われるが、それは不可能だ」――ある急性期病院の院長は、病診連携における薬物療法の難しさを打ち明けている。しかし、医療連携の拡大化により、処方の統一化、いわゆる地域内EBMのようなものが進められていくことになることが予想される。
 そうなると、これまでとは違うルールに基づいたMR活動が求められるようになるだろう。まずは、厚生労働省が4月30日に発表した「医療提供体制の改革のビジョン案」の中から、「病診連携・地域医療連携等の推進」(当面進めるべき施策の「医療機関の機能分化・重点化・効率化」から)について抜粋して紹介したい。


<病診連携・地域医療連携等の推進>
◆地域医療支援病院の承認要件の見直しを行い、その普及促進を図ることにより、診療所を支援し、病診連携を推進する
◆紹介率・逆紹介率の向上を図るとともに、入院診療計画(いわゆるクリティカルパス等)における適切な退院計画の作成、退院に向けた情報提供やサービス調整による、適切な入院医療と退院後の療養生活の確保を図るなど、地域における医療連携や医療機関と薬局の連携を推進する
◆訪問看護を担う人材の育成を支援し、訪問看護ステーションについて、看護技術の質の向上を図るとともに、その普及を促進する。在宅ALS患者について訪問看護等による支援策の充実に努め、安心して療養生活を送ることができる環境整備を図る

 厚生労働省の狙いどおりに医療連携が進むと、医療機関は“選ばれる理由”を中心とした経営にシフトせざるを得なくなる。また、平均在院日数を短縮(14日以内)するには、一つの病院だけの努力では不可能であり、当然の如く「共生」という概念が出てくる。
 この制度改革下でも患者数を増やしている医療機関は、地域医療連携室を院内に設置し、担当者が地域内の医療機関を営業している。つまり、患者が来る仕組みをつくっているのである。
 医療連携にはいくつかの種類が存在する。医療連携と言うと、病院と診療所の病診連携、病院と病院の病病連携、診療所と診療所の診診連携といった、施設種類別の連携を思い浮かべるが、細かく見ていくと、「疾患別」と「職種別」の連携があることに注目していただきたい。
 
■疾病管理の時代の到来
 施設間の医療機能の重複が是正され、連携が進むようになると、当然の如く、落ちこぼれる医療機関が出てくる。本来であれば、“選ばれる理由”をつくっているのだから、前述のように医療機関が営業をすれば患者数が増えるはずだが、「疾患別」と「職種別」の連携が進むと、医療機関の実力が鮮明になり、勝ち組と負け組が鮮明になる。
 鋭い読者ならすでに気付いていると思うが、「職種別」の中には、当然、MRも入っていくように仕掛けなければならない。そのためのキッカケとなるのが、“疾病管理(Disease Management)プログラム”である。
 究極の医療提供体制は、患者の自宅を核にして展開される。そこには、疾病管理という考えが導入されてくる。簡単にまとめると、疾病管理は次のステップで展開される。
ステップ1 診療ガイドラインの作成
ステップ2 クリティカルパスの作成
ステップ3 疾病管理モデルの評価

 以上のステップを、疾患毎に勝ち組の医療連携の中で行っていくことが、処方のアップにつながり、MRのモチベーションアップにも役立つに違いない。
 このようなことができる人材は、もはやMRとは呼べなくなる。「疾病管理コーディネーター」と言った方が相応しいだろう。MRの存在価値が問われている今、このような発想の転換が求められる。

■調剤薬局に“本当の調剤”を指導せよ!
 MRが、疾病管理プログラムを各地域で展開していくには、地域内で勉強会などを組織化し、定期的に意見交換できるような仕組みをつくる必要がある。今はインターネットという便利なものがあるので、メーリングリストなどを使うと、全員が顔を合わせるのは、年に数回で大丈夫だ。その間は、MRが“触媒人”として活躍すると良い。
 しかし、「勉強会をするので、ここに集まって下さい」と手紙を出しても、誰も来ないだろう。高い志を持って、勝ち組の医師・薬剤師などに相談し、自分は世話人という位置付けが良い。勝ち組の医師から呼びかけられれば、他の関係者は高い確率で参加してくれるに違いない。
 会を良いモノにするためには、MRがメンバーから信頼されることである。そのためには、医師以外の関係者との情報提供・収集活動が重要になる。なかでも重要になるのは、調剤薬局との関係だ。究極の医療提供体制では、患者の自宅が核となる。その核に一番近い存在が調剤薬局だ。
 多くの調剤薬局が実は、“本当の調剤”をしていないように思えてならない。本来、調剤とは、(1)処方設計、(2)コンプライアンスの向上、(3)副作用のチェック――の3つができて初めて調剤と言える。製薬企業として、しっかりと調剤薬局を監視・教育する必要があるだろう。
 “共生”を目指すのか?それとも変革せずに“共死”を迎えるのか?生き残りの椅子取りゲームに勝つには、他社よりも早く動くことである。

(“コンサナリスト”川越満)